第14回 医療的ケア研修セミナー

11/12(日)に日本小児神経科学会主催の「医療的ケア」研修セミナーに参加しました。
朝から夕方までびっしり詰まったプログラムで、
医師・看護師・その他の医療福祉の方々向けではありましたが大変勉強になり刺激になりました。

会場となる講堂前には、つばめの会のパンフレットおよびニュースレターを置かせていただきました。
こちらの予想を上回り、持参したパンフレットが全てなくなってしまい、
もっと多く持参すればよかったと反省しました。

このセミナーは、支援の方法、また制度のしくみや現状について多数の講師のお話を一度に聞ける企画でした。

つばめの会に多い経管栄養児はまさに医療的ケア児ですので、
私達には全て重要なのですが、報告として、つばめの会で知っておきたい、
今後の参考になるポイントを上げてみたいと思います。

・医療的ケア児の7割が重症心身障害児である(逆に言えば重症心身障害児以外が3割もいる、ということになります)
・学校での医療的ケア実施により、医療的意義だけでなく、教育的意義、福祉的意義が挙げられており文科省の研究にも教育的効果がまとめられている。
医療的ケアは看護師だけでなく教員など医療に詳しくない人員でも看護師がいる状況で特定の内容が実施できるよう、主治医および特別支援学校の校医とは別に指導医による指導が定められている
・自治体ごとに運用および実態に違いがあるのが現状である(が、逆に違いがあることは把握されていることだと感じます)
・在宅医療から家庭での医療ケアを支える方がいる。
介護のケアマネージャーのように全体をコーディネートするコーディネーターという職種があるが、ケアマネージャーとは小児の発達なども視野に入れ制度も異なるため、役割および取り巻く環境は違っている。
コーディネーターは不足しておりコーディネーターへのスーパーバイザーが必要
・成人対象の在宅医療の医師が小児も診察してくれる方もいるが、主治医との連携も必要で小児と成人とは対応が異なることも多く小児は関連する職種もより多岐にわたる。
来年の診療報酬改定でのより手厚い支援がなされる可能性がある。
医療的ケア児の保護者が特別支援学校で待機が必要になる事例はまだあるが、お互いの関係性を築いて待機が不要になることもある。
・胃チューブの管理はやはり、胃に入っていない、うっかり抜けるなどが問題になり、これを防ぐために学校活動が制限されることもあるが、指導医の先生方は「参加を保証する」という大前提で活動されている

親の立場からすると医療ケア児対策は、まだ完全ではないと感じます。
しかし、このように、どのようにしたら安全性を確保しつつ子どもの発達を促せるか、というセミナーに、
熱心な先生方が大勢参加されていることも事実です。

医療的ケア児については個々の患者や環境の影響が大きく、親も医療や福祉や学校とコミュニケーションをしっかりとることが
ひいては子供のよりよい環境づくりにつながると感じました。
そのためにはつばめの会は親にも、医療者・行政・福祉・病院・学校 などと
より前向きなコミュニケーションを取れる技術や心構えを伝えていくのも一つの役割であると感じます。

さて今回は患者側の講師として衆議院議員で総務大臣の野田聖子さんも登壇され、まさに医療的ケア児当事者のまさき君も壇上で挨拶をしました。
野田聖子さんのお話は、まさにつばめの会で親が考えていることとほとんど同じで、首を縦に振り続けながらお話を聞きました。

・医療的ケア児も学校に行かなければならない。子供は負けず嫌いで同年代の子どもと一緒だと頑張る。
・医療ケア児が保育園に断られているような現状がある。保育無償化の前に全ての子どもに保育を。
・野田さんは、「看護師をおけば保育園に入園できる」という条件のもと、看護師も手配されたそうです。
しかしこれが「野田さんだからできること」と言われてしまう。
そうではなく「看護師がいれば入園できる」というエビデンスになるはずである。
・医療ケア児の親は「学校に行かせるだけありがたいと思え」という空気の中で我慢している。毎日待機する等の対応を野田さんの家庭でもしているが、これは異常なことである。
・教育現場で憲法違反をやっているのが現状であるが、とはいえ学校側が、校長が、全責任を負うというのは無理がある医療と連携を取れるよう児童福祉法の改正をした。今後も診療報酬など改正が必要である。

一般の親が口にすると「なんと生意気な」「そんなわがままな」という雰囲気になることもあると感じていましたが
私たちと全く同じ思いで、よく知られた立場の方が強く発言してくださることを心強く感じました。また実体験を元に法改正などに動かれているお話でしたので、それもまた心強く感じます。

盛りだくさんだったセミナーですが、
小児神経科学会サイトに記載の本日のプログラム等は下記の通りです。

主催者およびセミナー講師の方々、親の会を快く参加させて下さりありがとうございました。

日時 2017年11月12日(日)9:30-17:30(受付開始8:45)
会場 東京大学内医学部鉄門記念講堂
対 象 重症神経疾患児・重症心身障害児(者)等の、医療・療育・教育・通園通所・訪問看護などに携わる、医師・看護師・保健師・理学・作業療法士・言語聴覚士・教員・保育士など

プログラム
◆午前の部:小児等の在宅・地域生活を支える医療的支援について

開会の挨拶 第14回研修セミナー大会長 米山 明(日本小児神経学会社会活動委員会)

1.「医療的ケア」と支援体制など-日本小児神経学会の15年間の取組みをふり返りながら
北住映二(心身障害児総合医療療育センター所長)
2.小児等在宅診療を通じて地域生活支援を考える(福祉・保健との連携)
宮田章子(さいわいこどもクリニック)
3.在宅生活を支えるリハビリの役割
直井寿徳(スマイル訪問看護ステーション)
4.小児等在宅医療を地域で支えるネットワーク作り(医療・保健・福祉・教育)
谷口由紀子(淑徳大学看護栄養学部地域看護学)
5.行政説明1 小児等在宅医療について
桑木光太郎(前:厚生労働省医政局地域医療計画課在宅医療推進室、現:久留米大学消化器内科)
6.親の立場から『医療的ケア』について、支援者へ望む事
野田聖子(衆議院議員)

◆午後の部:学校等における医療的ケア

7.行政説明2「学校等における医療的ケア」
分藤賢之(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)
8.『医療的ケア』必要児童生徒への教育支援:特別支援学校の現状と課題
大山衣絵(東京都立光明学園)
9. 呼吸・嚥下・栄養関連の医療的ケア~人工呼吸・気管切開・吸引・酸素、胃瘻を含む経管栄養、栄養関係などの医療的ケア
山口直人(心身障害児総合医療療育センターリハビリテーション科)
10.「指示書」は医療と教育の連携ツール:指示書の意味と学校(保育所等)での実践
中谷勝利(東京都立大泉特別支援学校/心身障害児総合医療療育センター)
11.今後の医療的ケアについて
高田 哲(日本小児神経学会社会活動委員会委員長/神戸大学大学院保健学研究科)
◆質疑応答、閉会の挨拶

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