体験談(10)

経管栄養卒業(36ヶ月)までの記録

 

<患者情報>

名前   H

疾患名:心臓病(両大血管右室起始症、肺動脈狭窄)

住まい :愛知県

 

 

00ヶ月          2752gの男の子(H君)正常分娩にて出産(第2子)

 

1ヶ月          1ヶ月検診にて心雑音が確認される

 

2ヶ月          緊急で1回目の心臓手術(BTシャント術)

母乳のみで育てていたため、H君は哺乳瓶拒否。そのため手術後の水分制限は鼻チューブで行う。

3週間後、母乳での授乳が許可され、鼻チューブを付けたまま経口にて母乳を吸うが、

むせて吐き戻してしまう。それから経口による母乳摂取を拒否。もちろん哺乳瓶も拒否。

 

4ヶ月          鼻チューブを付けたまま退院

根治手術を行うためには、体(心臓)を大きくさせなければいけないとのことで自宅での注入生活開始。

 

5ヶ月          断乳

いつか飲むかもしれないと、飲まなくなってから搾乳を約2ヶ月続けていたが、度重なるおっぱいトラブルに悩まされ、

同時に私(母)が風邪で副鼻腔炎を発症し鬱っぽくなってきたため、おっぱいをやめる決断をする。

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           <苦労した点・工夫した点>

・      根治手術に向けて体重を増やしたいので1日の注入回数は3時間毎に7回、1回の注入にかける時間は1時間。(14710131821時)

・      1ヶ月毎に1020ccのペースで増やす。

・      ミルクの濃度を濃くする。(120%)

・      胃がまだ真っすぐのため、起きているときはよく吐く。

→ 大きくなるにつれ吐く頻度は減る。

・      注入を苦しがりよく泣く。そのため寝ている時間にできるだけたくさんの回数注入する。

・      断乳の時期が一番よくおっぱいが出る時期だったため、胸の張りがすごく、とても辛かった。

・      たくさんの種類の哺乳瓶(乳首)を試すが、どれも効果なし。(口蓋裂用の乳首など)

・      鼻チューブがあるため、風邪をひくと鼻水のきれが悪くなり中耳炎になった。

・      中耳炎にならないため、鼻水が出るたびに耳鼻科に通う。(吸引と薬の処方)

・      自宅に鼻水吸引機(約¥16,000)を購入し、はじめに看護師さんによる看護指導を受け母が吸引する。

・      鼻チューブが抜けにくいようなテープの貼り方(形)を日々研究する。

・      鼻チューブが喉を刺激するせいか、何もしてないのによくオェーッとなる。

→ 胃にミルクが入っていると吐き戻す。

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6ヶ月          離乳食を始める

ミルクを飲まなくても、離乳食は食べてくれるかもしれないと、離乳食を始めた。

1日目は1口食べたので「これはいけるかもしれない!」と思ったが、

2日目は1口も食べず、34日目も口を開けず、離乳食も早々に断念する。

 

8ヶ月         カテーテル検査入院

根治手術できるかどうかの検査だったが、心臓もまだ小さく、根治手術できないことはないが、

予後のことも考えて今回はより心臓を大きくするための手術をしましょうと主治医から提案される。(体重8kg

 

9ヶ月          2回目の手術(BTシャント術)

カテーテル検査入院から、血中酸素濃度が少ないということで手術まで約1ヶ月継続して入院。

年末29日に酸素持ち帰りで退院。

根治までの目標体重は11kgと提示される。

 

10ヶ月        寝返りをする

                      摂食リハビリのため1週間入院

2回目の手術後、依然全く経口による栄養がとれないとの相談をしたところ、

1週間程入院してSTの先生に診てもらおう」と提案されたため、この頃から本格的に摂食リハビリを始める。

脱感作や、受け入れやすい飲み物を指導してもらう。が、全く成果なし。

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           <苦労した点・工夫した点>

・      10ヶ月のときに風邪をひいたが、体調が悪い時は特に注入が苦しい(大人も風邪をひくと食べたくなくなるような感じ)ようで、

   1日に100ccも注入できなかった。脱水が怖いため、水を少量ずつ注入する。

・      2回目の手術以降、鼻チューブに加え酸素チューブも装着したため、顔中テープ・チューブだらけになった。

・      チューブが交差したりするため、より外れにくいテープの貼り方や肌に優しいパーミロールというテープを購入したりして、

   H君のテープ交換の負担(回数や肌の保護、はがすときの痛みの緩和など)を減らす研究をする。

・      鼻水が出たりすると、酸素チューブもあり鼻水の処理を頻繁に行わなくてはいけない。

・      酸素チューブに鼻水が入る。

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  15ヶ月     ハイハイをする

                      スポイトで水を飲むようになる

暑い季節になり、お風呂上りに水をスポイトで口に入れることを何日か続けたところ、ある日からその水を飲むようになる。

 

19ヶ月    3回目の手術(根治:ラステリ手術)

                 術後離乳食、ミルクを口にした

手術後約2週間で離乳食に挑戦したところ、3口程度食べ、ミルクもシリンジで40cc程度飲んだ。

この時は術後で、意識があまりしっかりとしていなかったためボーっと食べたり飲んだりしていたと思う。

だんだん食べる量も飲む量も増えた。最大で1回に離乳食20口、ミルクを70cc飲んだが、

元気になるにつれて意識もはっきりし、食べる量も飲む量も減ってきた。最終的には一口も口にしなくなった。

 

2              退院

                      酸素も必要なくなる

                      内服薬あり(シリンジで注入→チューブを抜いてからは経口)

                      ミルクを卒業し、エンシュアにする

 

21ヶ月      療育に通い始める

成長も遅く、出来ることも少なかったため、少しでも成長が促せるようにと、早々に近くの療育に通い始める。

また、通う療育施設では施設内で作られる給食があったため、お友達が食べる姿を見て、

少しでも食べる意欲が引き出せればと期待した。3歳以下だったため母子通園。

 

24ヶ月      歩き始める

                 この頃からアンパンマンジュース(野菜とりんご)を少しずつ飲むようになる。

 

 

29ヶ月      言葉が出はじめる

  つばめの会に入会

入会コメントへの返信でたまたま同じ病気の子どもを持つ方からメッセージをもらい、

同じような境遇で飲まなくなったこと、また田角先生を受診し、抜管できたことを知り、

遠距離ではあるがすぐに昭和大学への受診を決める。

 

211ヶ月    1回目 昭和大学受診

                                  この頃はあっさり系のジュース(アンパンマンジュース等)を飲む程度。

      抜管するには液体のものでいいので、ある程度の栄養がとれる、生活するための体力が維持できるようになることが必要とのこと。

飲み物の種類を増やしましょうとアドバイスを受ける。エンシュアや牛乳等、タンパク質を多く摂取できるとより良い。

 

3              2回目 昭和大学受診

                                  前回と特に変化なし

                                          無理しない程度に種類を試しましょうとアドバイスを受ける。

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<苦労した点・工夫した点>

・      スーパや薬局に行くたびに乳製品や介護食品の前で成分表示と長時間にらめっこした。

・      タンパク質を多く含む飲料として牛乳に勝てるものは無いんだなと、改めて牛乳のすごさを思い知る。

・      乳脂肪等が入った飲料は全て嫌がる。エンシュアと味が似てるから?

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31ヶ月      療育への単独通園始まる

3回目 昭和大学受診

           よく動くようになったせいか、ジュース(あっさり系)をよく飲むようになる。

      ジュースを飲む量が増えたことは良いことと言われる。また、この子の場合は脱感作等の口内マッサージは

口にモノを入れる嫌なイメージに繋がるため、やらなくてよいとアドバイスを受ける。

 

32ヶ月      4回目 昭和大学受診

少しヤクルトを飲むようになる。(ヤクルト(正規品)は他の飲料品より栄養分が良い)

                                          昼間の注入を一回減らしましょうと提案される。

 

33ヶ月      5回目 昭和大学受診

ヤクルトを飲む量が増える(15本程度)。キャラメルコーンを少し食べる。

       週1回のチューブ交換の際にできるだけチューブを抜く時間を増やしましょうとアドバイスを受ける。

        最大3日抜く               特に変化なし

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<気づいた点>

・      急に注入を止めたところで食べるわけではない。定期的な注入の繰り返しで空腹感が無くなっている(脳への信号がマヒ)。

よって、注入の要求もなし。

・      甘いものが好きというわけでもない。 → 舌も使用していないため味覚おんちに?

・      食べ物の匂いで空腹感を誘ったらと誰かに言われる。 → 「美味しい匂い」とは美味しいものを食べた時の味と匂いの経験を重ねて感じるもの。

一般人も、花の匂いを嗅いでお腹がすくことは無い。よって、食べない人への匂い作戦は無効。

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34ヶ月          療育施設で給食を口に入れるようになる

当初はペースト食を提供してもらっていたが、ある日突然お友達と同じものをよそいたがり、固形の食べ物を少しずつ口に運ぶようになる。

 

                      6回目 昭和大学受診

                                  ヤクルトを17本飲む。固形物も少量ではあるが食べる。

                                          チューブを抜いてもよいと言われる

 

 

<所見>

うちの場合は、成長の過程でしっかり立つようになり、よく動くようになったり、

療育も健常の子が一緒に保育されているのでたくさんの刺激を受けたり、周りの子が食べているのを見て

「自分も食べたい」と思うようになったりと、そろそろ食べる時期にきていたのかもしれません。

親がいない場での給食は本当に有効だと思います。

しかし、田角先生の診察を受けていたのといないのでは鼻チューブを抜けるまでのスピードも違ったのかもしれません。

もちろん田角先生を受診するまで何もしていなかったわけではなく、理学療法もSTも受けていました。

しかし、STは口の動きや食べ物のアドバイスはしていただけるのですが、

食べるようになるための注入の量や時間帯、方法を提案されることはありません。

多分、体のことは医師ではないので管理できないのかなと思います。

田角先生は実際に食べれない子を診て、その子の全身状態を把握し注入量、注入の時間帯、

何を飲める(食べる)ようになれば鼻チューブが抜ける、脱感作は本当に必要か等を具体的に指導してくださいました。

家が遠かったため月に1回しか受診することはできませんでしたが、その間も1週間に1回はメールをやりとりし、

それまでの状況(体重の変化等)に対するアドバイスをしていただきました。

結果、上手く空腹感を出すことができたことが食べることに繋がったのかもしれません。

あとは、自分自身が心がけていたことで「無理に飲ませたり食べさせたりしない、

食べなくても鼻チューブがあれば死なないや。」と少し楽観的に考えるようにしていました。

色んな本や資料を見て「食べたくないのに食べさせる」ことは何のプラスにもならないと。

自分から食べたい(飲みたい)という意思が一番大事で、

親はその気持ちをどのようにして出してあげれるのかを一番に考える必要があるのかなと思います。