保護者のみなさんへ 綾野 理加

お子さんと保護者の方々が 楽しく安全な食事の時間を持つために

食べることが難しい理由はさまざま

どうしたら食べられるのだろう、どうしたらいいのだろう、誰に相談したらよいのだろう……。そのようなお悩みを持って「つばめの会」をみつけた方は多いと思います。
食べるしくみは、口に食物を入れたら食べられるというわけではありません。お腹が空けば、おいしいものが目の前にあれば食べたい気持ちになるというわけでもありません。さまざまな要素により、食べることを営んでいると考えられています。
私は歯科医師になってから、食べることが難しいたくさんの方々にお会いしてきました。その多くはお子さんと保護者の方で、食べることが難しい理由はさまざまです。
私の一番得意なところは、「食べる機能」なので、まずそのお子さんの食べる機能の発達の様子を確認させていただきます。その結果から、食事や与え方を指導したり、場合によっては機能を促す方法を指導していきます。食べる機能は問題がない方には、食べる意欲を引き出していく指導をさせていただくこともあります。

お子さんの発達に合わせた対応を行う

子どもは発達していきます。その発達の様子を見ながら、食べることへの対応をしていきます。早ければ早いほどよいことと、時期を待って行ったほうがよいことがあります。食物の形状を変えることや、与え方を変えることもあります。それはお子さんによりさまざまです。
それを見極めたり、お伝えしたりできる専門職が、まだまだ足りないように感じます。食べることに関わる指導の専門と言われている職種であっても、資格を得る学校で、子どもの食べることに関して学ぶ時間や機会が少ないことが原因のひとつではないかと考えています。
私はいくつかの場所で、食べられないお子さんと保護者の方にお会いしています。また、さまざまな職種の方々へ、子どもの食べることに関するお話をしています。1人でも多くの専門職が、お子さんの食べることについて正しく理解し、お子さんと保護者の方々が楽しく安全な食事の時間を持つことのお手伝いができるように、が私の願いだからです。

つばめの会とつながり、少しでもお悩みが減るように

つばめの会では、なるべくメーリングリストに目を通し、医療機関をご紹介したりしています。また、会員のみなさんへお話をする機会もいただいています。
食べることに関して現在お困りの方、食べることが難しかったけれど変化があった方など、さまざまな様子のお子さんの保護者の方々が、この会に集まっています。
この会とつながることで情報を得たり相談をしたり、少しでもお悩みが減るように願い、私ができることをお手伝いしたいと思っています。

別記事へのリンク

ダウン症のお子さんの摂食指導で思うこと (つばめの会の活動報告ブログ)

 

 

つばめの会顧問 綾野 理加

(昭和大学小児成育歯科学講座 兼任講師)

略歴

1993年 昭和大学歯学部卒業
昭和大学大学院歯学研究科(口腔衛生学)入学
1995年 南フロリダ大学、Tampa VA Hospita留学
1997年 昭和大学大学院修了、歯学部長直属助手 口腔衛生学教室勤務
1998年 昭和大学歯学部助手
2004年 昭和大学歯科病院口腔リハビリテーション科へ出向
2007年 昭和大学歯科病院口腔リハビリテーション科へ異動
2010年 昭和大学退職
昭和大学小児成育歯科学講座兼任講師
2011年 岡山大学スペシャルニーズ歯科センター非常勤医員
あやの歯科医院勤務(2019年3月閉院)
2019年 東京医科歯科大学歯学部口腔保健学専攻非常勤講師

著書

・伊藤公一ほか編:歯と口の健康百科.医歯薬出版,1998
・向井美惠編:乳幼児の摂食指導 お母さんの疑問に答える.医歯薬出版,2000
・金子芳洋,向井美惠編:摂食・嚥下障害の評価と食事指導.医歯薬出版,2001
・M.Groher・M.Crary著,高橋浩二監訳:Groher&Craryの 嚥下障害の臨床マネジメント.医歯薬出版,2011
・日本摂食嚥下リハビリテーション学会:小児の摂食嚥下障害.医歯薬出版,2015
・綾野理加:小児の摂食障害—機能・行動の両面から.臨床栄養129(5),647−655,2016
・綾野理加:食べられない子ども.地域リハビリテーション11(7),442−446,2016

・金子芳洋他監修:子どもの食べる機能の障害とハビリテーション、医歯薬出版