医師・歯科医師からのメッセージ

つばめの会では、子どもの摂食嚥下障害の専門家である小児科医・歯科医に顧問をお願いしています。 そのため、発行物や勉強会などを通して、摂食嚥下機能や障害について、治療や支援の方法についてなど、根拠のある情報を得ることができます。

保護者のみなさんへ

つばめの会顧問 弘中 祥司・田角 勝

摂食嚥下障害児とは、どんな子どもか

摂食嚥下障害とは?

口から食物を摂って、口の中で処理して、飲み込んで、食道から胃まで運ぶ体の機能を摂食嚥下機能と呼びます。正確には、食べる・飲み込む動作は咀嚼・嚥下動作ですが、食事には心理的な要素もとても大きいので、摂食嚥下機能と表すことが多いです。この機能が正しく行われるためには、さまざまな消化器官の連携が行われますが、その一部や全部が正しく機能しない状態を摂食嚥下障害と呼びます。

どんな子どもが対象か?

私たち成人が何気なく食べて・飲み込んでいるこの摂食嚥下機能は、生来もっている機能ではなく、哺乳・離乳食・幼児食と段階を経て学習する機能です。ですから、その学習過程で何らかの疾患や病気により学習困難が生じると、症状の程度の違いがあるにせよ、どの子どもさんでもなりうる障害と言えます。一般的には、表のような障害により、発症すると言われています。

分類 代表的な疾患
1 未熟性 (未熟児、低出生体重児、早産児) 超低出生体重児など
2 解剖学的な構造異常 (先天性・後天性) 唇顎口蓋裂、小顎症、 食道閉鎖症など
3 中枢神経、末梢神経、筋障害 脳性麻痺、筋ジストロフィー、 ミオパチーなど
4 咽頭・食道機能障害 アカラシア、食道炎など
5 全身状態 感染症、心疾患、呼吸器疾患など
6 精神・心理的問題 経管栄養依存症、反芻など
7 その他問題 口腔乾燥、口内炎など

どんなことに困っているのか?

私たちの外来を受診される理由の多くは、「噛まない」、「丸呑みする」、「舌が出る」といった口腔の機能的な問題から、「むせる」、「誤嚥する」、「チューブが外れない」、「口から食べない」などの嚥下機能や心理的な原因から来院されることが多いです。 ひと口に摂食嚥下障害と言っても前述しましたように、多くのプロセスを経て、安全に飲み込むのですが、その一つ一つを詳細に検討(検査)して私たちは判断しますが、乳幼児期はまた、食べる機能が発達する時期でもありますので、発達の段階のどの時期にいるかを見極めて、サポートしています。

そういう子どもが困っていたら、どんな場所に相談すべきか?

現在、我が国で摂食嚥下障害を取り扱っている医療機関はまだまだ十分とは言えません。その中でも、小児患者を取り扱っている医療機関はもっと少なくなります。基本的には、主治医に相談することが重要ですが、地域の保健所の保健師さんや療育施設に相談することも重要かと思います。 一人でも多くの子どもさんが、口から安全に、楽しく、美味しく食べられることを祈って、私たちもこれからもがんばります。 よりくわしく知りたい方はこちら