学会シンポジウムの聴講
いつもは展示で精一杯のつばめの会ですが、外来小児科学会では、珍しく参加証を入手し聴講をする余裕がありました。
と言っても結局1つの演題しか聞くことができませんでしたが。
「離乳食を科学的に語ろう!」というセミナーです。会場は入りきれないほどの満員で、あわてて前方に椅子なしで床に座って聴講する席が設けられ、それでも立ち見が出ている状態で、離乳食への支援への関心の高さがうかがわれました。
セミナー抄録より
内容
新しくなった厚労省の「授乳・離乳の支援ガイド」をはじめ、それにまつわるお話を各シンポジストの先生が講演され、そのあと会場からの質疑を元にディスカッションでした。
出てきた中で興味のあった内容としては
・日本の子供の成長曲線は離乳食の始まる6ケ月以降、世界の平均(高学歴で健康への知識の十分ある仮定の健康な子供の平均)よりだいぶ下回る傾向がある。この理由は離乳食のカロリー不足ではないか?
・母乳に含まれる脂質を考えると離乳食での脂質がだいぶ少ないのでカロリー不足である
・10倍粥・ささみや白身魚から始めるという内容に科学的根拠はないのではないか
・WHOの資料とのかい離(WHOの資料としてこちらが紹介されていました)
・NPO法人日本ラクテーションコンサルタント協会よりWHOの補完食の資料を和訳したものの紹介
・月齢でなく、赤ちゃんのサインを見逃さない、手づかみたべの方法があること、関連資料 (NPO法人ラ・レーチェ・リーグ日本サイトより)
・このガイドでは脂質やタンパク質が不足しているのではないか
・血液検査だけで除去食を指示せず、正しい経口負荷試験などを経て見極めないと除去食の子供が増え、子供のQOL低下につながるのではないか
・日本の離乳食は柔らかすぎる傾向にあること
というお話などがありました。
開催の挨拶の中で「離乳食を小児科医の手に」という言葉がありました。小児科医の指示が学校や幼稚園・保育園側から否定されたりすることもあるそうです。医療的に必要な指示が「文化」などを理由に拒否をされるのはよくないことと感じました。
学会では、最新の知見などが討議される場ですので、全ての内容が正しいかどうかは、患者会の立場で聴講させてもらったものとしてはわかりませんが、手づかみ食べなどで子供の意思を確認する必要性などはつばめの会の顧問の先生も仰っています。また適切な形態・状態の離乳食の大切さがあると伺いますので、月齢でなく子供の状況に対応して世界的に適切とされる方法が周知されることを期待したいです。
しかしなにより、このように大勢の先生方が離乳食という、子供の発達と摂食について考えてくださるシンポジウムに大勢が関心を示してくださって、2時間にもわたる立ち見をされても聴講されていて、この流れが発展して、食べない子供に対しての知見がどんどん増えるとよいなと感じました。
聴講させていただきありがとうございました。