活動報告

書籍「発達障害児の偏食改善マニュアル」

本日は素晴らしい書籍をご紹介します。

「発達障害児の偏食改善マニュアル
食べられないが食べられるに変わる実践」

監修 山根希代子  編著 藤井葉子

発達障害児に偏食の強いお子さんが多いことは、少しずつ知られてきています。

しかし、支援者の方でも、そのような子供の食事をどのように対応するかという指針が知りたいと思われてはいませんか。

「強制すれば食べる」という方法は少なくなっているとは思いますが、
対応方法が場当たり的になってしまう、患者さんや施設の利用者さんに説明しにくい、と感じている方も多いのではないでしょうか。

また外来でそういうお子さんに何か参考になることをお伝えしたい、という方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方々に価値のある本を本日はご紹介します。

この本を書かれた管理栄養士の藤井先生のいらっしゃる広島市西部こども療育センターについては、過去にNHKのTV番組で様子を放送されたほど、偏食対応で成果を上げていらっしゃいます。

私もそれを見て、なんてすごい取り組みなのだと驚いて知ったのです。

というのも、つばめの会で過去に、神奈川県立子供医療センターの新生児科医である大山牧子先生に、会員向けの講演をしていただいたことがあります。

その時の内容はニュースレター第5号第6号にまとめていますが、講演の中で「フードチェイニング」という方法を紹介されました。
これがどのような方法かといいますと、
たとえばつばめの会の会員さんにもよくあるケースですが、
マクドナルドのフライドポテトなら食べる、という偏食の子供がいたとすると
マクドナルドのフライドポテトしか食べない⇨他のフライドポテトを与えて食べられるようになる⇨冷凍ポテトポテトを食べられるようになる⇨ポテトをソテーする⇨ポテトを焼いたもの⇨…

という風に、ほんの少しずつ変化をさせて、1つが食べられるようになったら、次のステップと進めて食べられるものを広げていく、という方法です。(上記URLの当会のニュースレター6号にもう少し正確に説明していますのでご覧ください)

この本には、フードチェイニングの実践についてだけでなく、どのように考えるか、どんなことに気をつけるか、実践するのに疑問になりそうな箇所、支援者や家族が記入するためのフォーマット見本、レシピ、調理や盛り付けなどが丁寧に写真付きでわかりやすく記載されています。

出版社のサイトから中身も一部が確認できますので、ぜひご覧ください。

以下は出版社サイトからの紹介文と目次を記載します。

(サイトより引用)

毎日同じものしか食べない、今まで食べていたものが急に食べられなくなった、といった発達障害児特有の偏食について具体的な対応方法を解説。
発達・栄養の状態や口腔機能等から原因を考え、偏食改善に向けた特別な食事の作り方を示す。
食事記録票等の現場で役立つ様式も収載。

【発達障害のある子どもたちの“偏食”へのかかわり方がわかる!】
「毎日同じものしか食べてくれない」「無理やり食べさせることになってしまってつらい」など、発達障害のある子どもの偏食は、保護者の方をはじめとする子どもの食事にかかわる支援者に共通する課題となっています。本書は子どもたちが食事を楽しんで食べられるよう、偏食を改善するために必要な対応をマニュアル化したものです。

【子どもの状態の読み取りから、食事の支援まで写真とイラストで解説!】
第1章の「偏食に関する基礎知識」では、偏食の原因や現場の実情など、支援を始めるにあたって知っておくべき事柄を整理しています。
第2章から第4章は「偏食改善マニュアル」として、具体的な対応方法をまとめています。
まず第2章で子どもの普段の姿や身長・体重などをさまざまな情報をもとに偏食の原因を考え、一人ひとりの状態に応じた対応の仕方をイラストでわかりやすく紹介します。
続く第3章では、偏食に悩む子どもでも手が出しやすい特別な食事について解説し、写真を交えて用意の仕方も掲載しています。
第4章では、著者が実際に相談を受けた経験をもとに、具体的な場面に応じた対応方法を解説しています。

目  次
第1章 偏食に関する基礎知識
 偏食とは
  ・偏食の特徴
  ・偏食の原因
  ・偏食対応の課題
 偏食への対応
  ・偏食対応の4つの柱
  ・偏食対応の実例
  ・心構え4カ条

第2章 偏食改善マニュアル① 子どもの状態を確認する
 子どもの状態を確認する
  ・情報収集の基本
  ・子どもの状態を把握する
  ・身体・栄養状態を確認する
 子どものの発達状態を確認する
 口腔機能を確認する
  ・咀嚼
  ・送り込み
  ・嚥下
 感覚を確認する
  ・触覚
  ・固有感覚
  ・聴覚
   ほか

第3章 偏食改善マニュアル② 特別な食事を用意する
 口腔機能への対応―嚥下調整食
  ・嚥下調整食とは
  ・基本の作り方
 感覚への対応―口腔感覚対応食
  ・口腔感覚対応食とは
  ・グループ分けと対応
  ・基本的な口腔感覚対応食(カリカリ食)の作り方

第4章 偏食改善マニュアル③ 支援のテクニック
 支援のテクニック
  ・食材に手を出しやすくする
  ・間食への対応
  ・立ち歩きへの対応
   ほか
 特定場面ごとの対応
  ・アレルギーがある場合
  ・保育園・小学校を意識したレシピを考える場合
  ・給食がお弁当の場合
   ほか

資料編
  ・食事調査票
  ・食事記録票
  ・たべられるものリスト
  ・偏食傾向チェックリスト
  ・食育マット
   ほか

(サイト引用ここまで)

書籍の他にも、同じ療育センターの偏食対応のwebサイト情報もあります。

レシピ

動画でのレシピ

この書籍やwebにある知識が専門家に活用され、偏食対応が日本に広まって、この書籍の帯にある「育て方が原因と言われる」「無理やり食べさせることになるのがつらい」「毎日同じものしか食べない」と悩む多くの親御さんに伝えていただきたい、というのがつばめの会の願いです。

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