本日は書籍をご紹介します。つばめの会の顧問である小児科医の田角勝 先生の著書が発売になりました。 この書籍は、専門の方でなく、全ての関連施設で支援を受けられる子ども達を増やすための書籍ではないか、とつばめの会では考えています。
専門でないから、少数だから、とお考えの専門家や支援者の先生方にこそ読んでいただきたい内容です。
田角勝のこれだけは伝えたい 子どもの意欲を引き出す摂食嚥下支援
医歯薬出版株式会社
発行年月:2019年9月 ISBN978-4-263-44567-9
詳細な目次や見本ページも出版社サイトに掲載されていますが、 出版社サイトに掲載されている紹介文がとてもわかりやすいので転載させていただきます。
●本書は全編にわたり『子どもが嫌がることをしない』,『子どもが能動的に食に向き合い,少しでも楽しめるようにする』といった姿勢で,小児摂食嚥下障害の支援・対応法についてまとめられています.
●乳幼児の保育・食支援・口腔成育にかかわる専門家ばかりでなく,小児摂食嚥下障害にかかわる多くの人たちに役立つよう,わかりやすいイラストや,やさしい言葉で話しかけるように解説しています.
表紙画像
表紙カバー織り込み部の著者メッセージです。
誰もが獲得しなければならない食べることに、さまざまな理由でつまずくことがあります。このような問題に対して、摂食嚥下障害という視点から子どもの支援と対応を試みてきました。しかしながら、私の思うような成果が得られませんで した。そこで支援や対応法を見直し、食行動の発達という、もっと広い捉え方の支援をする必要があるという考えに至りました。そして食行動の発達の支援や対応法に変えたときから、その成果がみえるようになりました。
目次
1編 食行動の発達と支援
2編 子どもの摂食嚥下障害
3編 食べる機能の評価のポイント
4編 摂食嚥下障害の支援と対応
5編 疾患と摂食嚥下障害
5編の中の各セクションのタイトルだけでも、つたわるものがあるかと思います。
内容を一部ご紹介します。本書150ページの「経管栄養を行う早産時、新生児の食支援行動」の章より
「注入量を子どもの上限にもっていくと、しばしば吐くことにつながります。そして繰り返される嘔吐を精査すると、しばしば胃食道逆流症という診断になり、保存的両方や薬物療法が行われます。このような場合、注入量を減らすだけで嘔吐が焼失することはよくあり、乳幼児の胃食道逆流症の診断は慎重であるべきです。(改行) NICU退院後に体重増加不良が見られることがあります。(中略)育児用ミルクなどの注入を行い、体重増加と引き換えに自分では全く飲まない状況に陥ることがあります。(中略)判断を誤ると注入による医原性の摂食障害を起こし、その後に経管栄養からの脱却に苦労するので注意しなければなりません」
ここに記載のある状態は、つばめの会の会員の子どもには「つばめの会あるある」と言えるほど、多い状況です。
ぜひこのような子供に出会う可能性のある先生方には知っておいていただきたい内容です。
つばめの会の活動についても触れていただきました。
「子どもは一人ひとり食べる量や心身の状態も異なり、子育てをする家族の状況もそれぞれ違います。仲間の輪によって、そうした親子の不安を軽減するための支援活動をしています。」
「乳幼児期の摂食嚥下障害の家族は、数年経ると親子の年齢が上がるため情報を引き継ぎにくくなりっます。そのため、このような活動が継続されることは家族にとって医療とは異なった力強い支援になります。」
つばめの会では、この本は家族でも活用方法があると考えています。
もちろん専門書になりますので患者家族には難解な部分もありますが、平易な言葉で書かれているので、全く意味が分からないことはないというのが理由の一つです。
活用方法としては、医療者や周囲の環境(園や学校等)から理解されにくいような場合、この書籍を相手に見せながら説明することで、根拠のある説明となり、理解が深まったり偏見による誤解がなくなることもあるかと考えています。
この秋はほかにもご紹介したい書籍がありますので、継続してブログで紹介していきます。